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【珍事:其の19 『採桑老』を観てきました】

 ここ最近ずっと、帰宅が午前様な12v電源です。
 遊んでないですよ。仕事です。

 あれですね。
 あんまり寝ないと、人って、自分が何喋ってるのかも理解できなくなってきますね。

 でもまぁ、まだまだです。(何がかは不明)

  ◇

 そんな状態の先週末、東儀俊美氏による舞楽『採桑老』を観に行ってきました。


 『採桑老』については、テレビ番組で紹介された事もあり、拙稿・旧「珍」の煮こごりに書いた事もあるので、御存知の方もいると思うのですが……いわゆる、「舞うと不幸が起きる」とされている舞楽です。
旧サイトの『採桑老』紹介ページ→【珍事:其の3 『舞うと死ぬ?採桑老』】

 旧サイトにも掲載しましたが、東儀氏は『雅楽神韻』(邑心文庫・1999)の中で、次のように述べておられた。
この舞(=『採桑老』)は前述の「蘇莫者」以上に全舞曲の中で一際異彩を放っている。面は額に死相が現れているといわれ、蹌踉たる老人の面である。白い装束に鳩杖と薬袋を持ち、介添に助けられながら舞台に登り、歩くようにゆっくり舞うらしいが、この舞にはいつ頃からか「採桑老を舞うと歳を過ずして必ず死ぬ」という言い伝えがある。これが教えてもらえず、又舞われることのめったにない原因らしい。『教訓抄』によれば多(おおの)家が秘曲として伝承していたが、1100年に多資忠(堀川天皇に雅楽を教えた楽人)が山村正連に殺害されて一度絶えたが、後勅命により秦公貞によって復曲されたとある。近年も一度国立劇場で上演されたが、その舞人は次の年に亡くなっている。あまり演技のよい舞とはいえないようだが、この舞には詠といって舞の途中で唱える漢詩がついている。
 三十情方盛 四十気力微 五十至衰老 六十行歩宣
 七十杖項栄 八十座魏々 九十得重病 百歳死無疑
 これを見ると平均寿命の短かった時代としては、この舞は長寿願望のお目出たい舞だったのかもしれない。ともあれ、一度ジンクスに挑戦して舞ってみたいと思いつつも、面を見ているとその気の失せてくる舞である

 また、2007年6月1日の朝日のコラムに、
舞うと死ぬ?秘曲「採桑老」9日上演 元宮内庁楽部・東儀俊美
舞うと死ぬという言い伝えがつきまとう舞楽の秘曲がある。「採桑老(さいそうろう)」。元宮内庁楽部の東儀俊美(としはる)が、9日の国立劇場小劇場(東京・三宅坂)での公演「雅楽『楽家(がっけ)』の伝承をたずねて」で挑む。

 「採桑老」は一人舞。宮内庁楽部には管弦譜、面などはあるが、舞い方を示した舞譜はない。「舞わない」と記す音楽事典もある。「教訓抄」によれば、多(おおの)家の秘曲だったが1100年、多資忠が伝授をめぐり殺害され廃絶、後年復曲された。東儀家などが属する天王寺楽派にかろうじて簡単な覚書が残った。

 「この曲の継承者をめぐる刃傷ざたが、『舞うと死ぬ』との言い伝えを生んだようです」と俊美。かつて東京で上演した舞い手は、1、2年後に亡くなったという。「数年前に大学生が舞いましたが、彼はぴんぴんしてます」。17~18世紀に最低9回舞われたが、その後の消息は定かでない。

 面は、青白い素地にシワが縦横に刻まれ、下をにらんだ半眼で、老人のデスマスクのよう。舞の途中で漢詩を唱える「詠(えい)」の文言に「百歳死無疑」とある。「年功のいった楽人が舞うのを前提とした曲だったのでしょう」と俊美はいう。

 今回、俊美は覚書を舞譜集「掌中要録(しょうちゅうようろく)」や「明治選定譜」などと付き合わせ、「詠」は除き、約20分の曲に復元・構成した。「現行曲中この曲だけ私は舞っていない。言い伝えは気になりますが、舞いたい気持ちが圧倒的に上回りました」
http://www.asahi.com/culture/stage/koten/TKY200706010224.html

 とあるように、やはりこの舞を舞うには相当の覚悟をされており……何よりも、死の恐怖を凌駕するほど『採桑老』に惹かれておられたのでしょう。
 御歳78歳の東儀氏にとっては、「この舞を舞わずには……」という気持ちもあったのではないかと……失礼ながらも、想像してしまう訳です。

 ◇

 ちなみに、今回の公演の演目は、
「久米舞」
「振鉾」
「採桑老」
「古鳥蘇」

の、4本立てでした。
 
「久米舞」、「振鉾」と華やかな舞が終わり、「採桑老」。
 空気がガラリと変わり、全く別の芸能を観ているようでした。
 
 介添え役の若者に連れられて、杖をついた足元もおぼつかない老人が、ゆらゆらと出現する。
 後ろで演奏される雅楽が、華やかなのに、なぜかとにかく不安を煽る。
 古い、フィルムの変色したイタリア映画なんかを観た時に感じる不安さと同種の不安。

 疲れ果てよろめいていた老人が、いきなり何か鬼気迫るように動き出す。……と思いきや、すぐに疲れてしまったのか、舞台に座り込む。しかし、再び老人は立ち上がり、何か執念のようなものをたぎらせて舞い始める。

 凄かったです。
 何と言うか……壮絶でした。

 死の間際の老人が、最後の残り火を無理矢理燃やして……命を磨り減らして、何かに執着している姿だ。と、思いました。
 未練で凝り固まった老人の足掻きのようなものが、非常に美しかったし……何か薄ら寒い気すらしました。

 どうしてこんな不安な舞が、聖徳太子の祭である聖霊会で舞われたのか。
 それが謎で仕方ありません。


 いやーでも、本当に、良い物を見せてもらいました。
 良かったです。
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